接客が苦手で怖くて嫌いだった私

今でこそ、接客が嫌いという事はなくなり、お客さんと仲良く出来るようになった私ですが、19・20歳くらいの頃は嫌で嫌で、気配を消そうと必死でした。

 

私の最初の就職先は理容室だったのですが、
何もかも初めての作業な上にお客さんを覚えなくてはいけないというプレッシャーが凄くありました。

 

 

 

プレッシャーから編み出した技

 

お客さんの顔と名前の一致、好きなもの嫌いなもの、シャンプーするときに指圧の強さ加減、分け目などなど全員覚えなくてはいけなかったのです。
しかし、20才くらいの私からするとサラリーマンのおじさんは全員同じに見えるし、
お店が歌舞伎町の近くだったのでホストや金融(当時のブラックな方の取り立て)の方も多く来店していましたが、職業的な特徴はあれどどうにも全員同じに見えてしまう・・・。

 

月に一回来るか来ないかのお客さんたちの名前と顔に一致は本当に大変な作業でした。

 

更に、仕事は見て覚えなくてはいけないので気を抜けません。
見ていたいのに電話が鳴ったり来店客の対応だったりで緊張が止まりません。

 

そうしている内にどんどんパニックと緊張とプレッシャーで20才の私はお店から

気配を消す(消してるつもり)」という荒技を編み出しました。
(完全に全員から見えてるんですけどね(笑))

 

お客さんが来店したときや電話が鳴った時に自分の存在がないものとする・・・
っていう、しょうもない事をしてたんですが(普通に怒られるし)
それくらい、怖くて怠くて逃げ出したい気持ちでいっぱいだったんです。

 

 

そんな私ですが、そこのお店を辞めてからしばらくしてデパ地下で働くことになったのが転機となりました。

 

 

恐怖の上司との出会い

 

当時、新宿のデパ地下は多くのお客さんでごった返していました。
特にお昼の時間帯と夕方のタイムサービスの辺りは目の色を変えた主婦やサラリーマンで大騒ぎ。

レジもスタッフがどのお客さんが先に並んでいたのかを常に確認していないと割り込みなんて当たり前で、それが原因でお客さん同士でケンカが始まったり、自分を見てなかったのか!!とクレームに繋がったり・・・

 

とにかく文字通り「戦場」でした。

 

 

前職の理容室で接客に対して自信なんてなかった私ですが、時給の高さに惹かれて働くことに。しかし、その戦場を始めてみたときに心が折れました。
自分なんかがやっていけるのだろうか・・・。

 

 

とにかく、自分が受け持ったお客さんはしっかり見て、何を注文しているのか聞いていないと聞き漏れがあった時はクレームに繋がるので必死です。
必死なのですが、毎日上司に言われるのが「遅い!!!」

 

 

総菜の量り売りだったんですが、
袋を開ける・総菜を詰める・確認をする・レジを打つ・レジ袋に入れる・一緒に入れるものはないか確認する・商品を渡して見送る

 

ピークの時間帯は特にこの作業に少しのミスも出来ません。
急いで、でもキレイで丁寧に見えるように接客出来てなくてはいけない世界で
私は毎日のように怒られていました。

そんなある日、その上司が結婚し新婚旅行で2週間お店を休むことになりました。
毎日怒られていた私は、どうにか2週間後にはこの上司を驚かせたい!!と思い、他の上司や先輩に頼んでこれまで怖くて聞けずにいたわからない事を事細かに教えてもらい、仕事を覚えていきました。

 

分からなかったことがわかるようになってくると精神的に落ち着き、
自然とピークの時間帯でも常連のお客さんを覚えられるようになったり、
スピードも上がっていくことができました。
(そうは言っても細かなミスは多々ありましたが(;^_^A)

 

こうなってくると、段々楽しくなってきます。
そしてこの時に分かったのが不特定多数のお客さんでごった返してお祭り騒ぎになると私のテンションがマックスになり、結果その忙しすぎる状態が楽しい時間になっていたのです。

 

こうして、その怖い上司を驚かせたいという気持ちだけで、私は2週間後には落ち着いて元気に楽しく働けるように成長していました。

 

 

その後の私は

 

分かったことは、接客よりもその前に作業面で理解できてないときはお客さんにまで気持ちを向ける事ができてなかったということ。
そして、怒られ過ぎてお客さんに優しく接することができなくなっていました。

 

この頃から思うようになったのは、目の前のお客さんたちも各々の職場で私と同じように苦戦したり嫌な気持ちになったりしながら、一生懸命働いたお金で癒しを求めてここへいらしてくださってるんだなと。

そう思うようになったら自然と「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」に気持ちを込められるようになりました。

 

よく言えば想像力が増した。

悪く言えば・・・勝手にその人の背景を妄想して接している(笑)

 

ただそれだけのことですが、気持ちよくお買い物して
気持ちよく帰っていただけるのであればそれでいいかなと思えるようになったのは、
この職場と怖かった上司のおかげです。

 

この上司が退社する頃にはかなり仲良くなりました。
今でも感謝しています(*´ω`)